桐野さんと違って女性らしいドロドロ 桐生典子「裸の桜」「眠る骨」
裸の桜 | |
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*内容* 閉じこめられた男女三人。すべてをさらけ出しあった濃密な地下室の夜。ヌードモデル、元ボクシングチャンピオン、OL。弱った心を抱え、占い師を訪ねた者たちが直面した緊迫の一瞬。エロティシズムが究極のサスペンスへ。
女性のリアルな心理描写に迫力あります。名前が似てるしつい思い出してしまったのですが、桐野夏生には女性の心理描写のあたり、かなり疑問を感じてしまうのですが、桐生典子の描写は自然に受け入れられる。やっぱり桐野夏生って男寄りの脳なんだろうなあ(笑)文章だけだと高村薫もかなり男っぽいですね。最初てっきり男性作家かと思ってました。 前作につづき浪漫を感じられるかなあと期待していたのですが、今回はかなり官能描写も多くて辛かったです(笑)味付けにはいいけれど、もう少し少なくしたほうが主題が生きるかも。 ただ、いろんな人生を背負った人たちを桜にたとえて描いてるところに浪漫があった。冬の裸の桜の幹は本当に苦悩してるようにねじれてますね。ごつごつして美しさのかけらもない。けれど春には素晴らしい風景を見せてくれる。雨の日なんかに可憐な花びらが幾つも貼りついた幹。無骨な幹が桜の可憐さを増幅してる。人間もそうなんだろうな。一時期でも花を咲かせられる時があればいい、と思わせてくれる。 ★★☆☆☆
眠る骨 | |
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*内容* 思いがけず訪れた恋は、唐突に無残な終わりを告げた。このまま森の中で朽ちて土に還りたいという恋人の願い。しかし、亡き恋人が、彼女の人生に思いもよらぬ悪夢と恍惚をもたらすのは、これからだった…。
初恋で相思相愛だったふたりが、中年になってまた出会って不倫の恋に落ちる。よくあるメロドラマ設定を嫌味なく描いていて好感大。 思春期の火花が出るような視線のやりとり、ロマンチックな雨の日の木の洞の中のファーストキス。それだけで怖くて逃げてしまった女の子もいまや立派な女性になってやっと結ばれる。鹿のように森を駆けていた女の子。森ではぐれてしまった二人が、今やっと巡りあえた。というあたりの描写は全体の10分の1もないのだけれど、とてもみずみずしくて爽やかな感動をくれました。
その後、奇遇にもファーストキスの木の洞の中に、恋人を横たえることになるとは…。いろいろミステリ風に色々な事件が浮かび上がってくるのですが…。初恋から始まって、醒めてしまった夫婦の新たな命と絆で締めくくってくれました。
度々見に行く木の洞の死体の変化の様子がちょっとグロいのですが、最後の場面(死体の隠し場所を案内する)では緑といっしょに輝きに満ちた場所に描写されていてまるでこれから生まれる命に重なった素敵な描写にしてくれました。 ★★★☆☆
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