光輝く人を羨んだり 乙一「失はれる物語」
失はれる物語 | |
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*内容* Calling You …………………頭の中に妄想した携帯電話。その電話が繋ぐ時間と空間を超えた物語。 失はれる物語…………………事故によってほとんどの感覚を失った主人公とその妻の話。 傷…………………………………傷を自分の身体へ移動させる不思議な力を持った少年の話。 手を握る泥棒の物語…………泥棒と泥棒に入られた部屋にいた人との壁越しのやりとり。 しあわせは小猫のかたち……内向的な主人公と、明るい幽霊が同居する話。 マリアの指………………………周囲から奇異な目で見られる『マリア』。彼女の死後解る、死に際の彼女のホントの気持ち。
「傷」どうしようもない事があったんだ…と諦めてしまう主人公が不憫で憤怒の思いです。でもふたりの優しく儚い存在が愛しくて、すべての子供が幸せに生きられることを願いたいです。
「失はれる物語」自分も主人公とシンクロして、指一本と腕少々の感覚のみで暗闇に取り残される恐怖にぞくっとしてしまいました。外界からまったく遮断されてしまった場合の(植物人間になってしまった)人の心の内、もしかしたらこんな風なのかも?脳だけ生きてるというのはどんな恐怖なのでしょう…。色々考えてしまいました、こわい。
「しあわせは小猫のかたち」もうどうしても実現しない、雪村とぼくと子猫の幸せなシーンに涙が出そうになりました。
私も日陰のほうで暮らす人間なので、主人公ぼくの気持ちはよくわかります。そこまで極端ではないけれど…。光り輝くところにいる人を羨んだり、暗い自分を蔑んだりすることもあるけれど、歳をとるとそういう人間は結構たくさんいるということがわかります。そして太陽さんもそれなりに悩みがあったり。
新聞の相談欄の答えで作家が上手いことを言ってました。「自分も皆に囲まれてる太陽みたいな明るい人に憧れてがんばってみたけれど、挫折して黄昏ていつの間にか夜になっていて。そうだ星の輝く晩の月の人になっても素敵じゃないか」というような事。ああいいなあと思いました…v 短編なのでムラがありましたが、お気に入りが出来たので。
★★★★☆
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