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重松清「きみ去りしのち」胸に刻みたい言葉をたくさんもらった、五つ星!

きみ去りしのち
きみ去りしのち 重松 清

文藝春秋 2010-02-10
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内容(「BOOK」データベースより) どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。―生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。再生への祈りをこめて描かれた傑作長編小説。

*★*――――――――――*★**★*――――――――――*★*  

1歳の息子を亡くした主人公が、母が余命を宣告された、前妻との間の子、16歳の娘(高校行ってない)と巡礼の旅に出る連作。毎回日本各地へ出かけるので行ってみたい場所が増えた。主人公の言動がちょっと鼻につくし、年相応なしゃべり言葉な娘のセリフも気にかかる。でも毎回登場する、大切な人を亡くした人達の生き方と言葉が、もうなによりの贈り物。ありがたく受け取りました。  

そして私も娘を生後一カ月半で失いかけてる過去(眠ってる間に息が止まり、数々の偶然が幸運につながって、娘を助けることができた。私は娘の息が止まりかけてる時に、気が付けて本当に幸せだった…)があった事が、感情移入する場面が多々で、他のレヴューの方より感動した理由かな。  

本になる時に、ただの章になってしまってるけれど、連載当時の題名つきのほうが、場面を思い出させていいけどな。なんの先入観もなく読んでほしくてただの9章にしたのか?    

「3章冬の歌曲」15,6年前21の息子を亡くした夫婦。息子が最後に見て感激した流氷を見に来てる。「好きなことやって毎日楽しくてしょうがないって時に終わったんだから本望ですよね」そう笑っていた母も、 実際流氷を見た時には名前を泣き叫び続けるのが悲しい。いくつの子でも、何年経とうが、その傷は死ぬまで残る。嘆きの嵐は3年くらいで治まっても、優しく透き通っていっても余計に哀しい。  

「4章虹の向こう岸に」前妻美恵子との新婚旅行で見た、ハワイの海にかかる大小いくつもの虹。月にかかる虹までも見る幸運にも恵まれたのに。余命半年の美恵子に神様が授けてくれた幸せとはいったい何なのか?息子の死から1年後。「忘れてごめんなさい」とうなされる現在の妻洋子。思い出がもう増えない子供の思い出を、もうひとつも忘れたくない。私たちが思い出してあげなきゃ。でもどんどん忘れていってしまうのが悲しい。

「6章まほろば」前妻美恵子の頼みで、娘を連れ年上の友達の家を訪ねる。行くあてのない子をひとまず預かるボランティアをしてる。何十年も前に夫と男の子二人亡くしてる。明日父に引き取られる知佳は、怒らせることでしか人とつきあえない子。叱られるとかまってもらえるから、忘れないでもらえるから嬉しい。 お別れだからがぶっと肩をかんだ子をリクエストに答えてうんと叱って、その後抱っこしてあげる優しいおばさん。お父さんやお母さんの一番大切なものになれなかった寂しさ。(娘より自分のやりたい事優先でさまざまなボランティア活動をしてきた美恵子を母に持つ)明日香は知佳ちゃんは自分に似てると言う。 おばさんの言葉。「寂しさを上手に育てていったら優しさになる。思い出さなくても忘れてもここにちゃんといるから。胸の中に。」  

「7章砂の暦」百個の星が宇宙から消える時間と赤ん坊が100人生まれるまでの時間の砂時計。 消える砂時計にしょんぼりしていた明日香が元気になって「また100人生まれました、すげーっ」と声を上げる。上の容器ばかり見てたのに下の容器ばかり見るようになる。 離婚して両親を亡くしてるタクシーの運転手、仏壇に「ごめんなさい」と「ありがとう」を言うという。息子に会えたなら最後を見届けてもやれなかったので、「ごめんな、さよなら」しか考えてなかったけれど、「ありがとう」を言いたくなる。会えなくなってからも「私と出会ってくれてありがとう」と言いたい相手がいれば、ひとりぼっちじゃない」という運転手。  

「8章瑠璃色のハイドゥナン」与那国島。久部良バリでの悲しい過去(身ごもった女性が3メートル以上離れた向こうの岩まで飛ばねばならない掟)。10年前二十歳の娘を亡くして定年後小さなホスピスを開いた医者は、がんばった娘との闘病生活をいまだにすっと迷ってるという。娘の死後の「苦しい」というメモ。 ホスピスの道に来てもまだ悩んでる。奥さんにはあまり迷いはなさそう。 「手をつないであげなさい、もうそれだけでいいの。もしその時容体が急変しても本望なの幸せなことなのよ」前妻美恵子にありがとうを伝えて、いっしょに遠くに蜃気楼のような南与那国島ニライカナイ天国のようなもの)を見る。  

「9章風がはじまるところ」23年前交通事故で亡くなった弟を持つ美惠子の友達の家に「島原の鐘楼流し」に招待される。友達のお父さんが運転の車で、他に男の子2人亡くなる。憎む相手が出来てしまう交通事故。何年も通って来ていた、お母さんと息子が鐘楼流しをやっと許されて拝む。悲しみはそのままでも憎しみは少しづつだけど薄まるのかも…。(死に方にもよるけど)    

胸に刻みたい言葉をたくさんもらった。これからの支えのひとつにさせてもらおう。きれいごとにも思える個所もあったし、私の経験や娘とだぶったせいもあるけれど、重松清見直しました、ありがとう。★★★★★


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