初恋はそのままの形で心に残る　豊島ミホ「エバーグリーン」

エバーグリーン
	豊島ミホ双葉社 2006-07 売り上げランキング : 68416 おすすめ平均記憶の力こんな恋胸がきゅんとなった時を、思い出させてくれるような・・・ Amazonで詳しく見る by G-Tools

内容（「BOOK」データベースより） 2人をつなぐものは…約束。中学校の卒業式で、10年後の再会を約束したシンとアヤコ。夢をかなえるため、シンは地元に残りアヤコは東京に向かう。それぞれの日常の中で、時間も距離も離れた2人の心は、揺れていた。ほろ苦い青春の日々を通して描かれる切なさにキュッとなる恋愛小説。

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娘にもお勧めできる淡い透明な恋愛小説です。

まだ知らない事がたくさんあって、きらきらしてるように思い出す１５歳の頃。でも実際は、（自分の日記を読み返すと）自己嫌悪と自意識過剰と不安がいっぱいで鬱屈もしていた時期のようです（笑）　

最初の数ページのシンくん目線の文章だとシンくんがただの地味な音楽オタク？という感じがする。文化祭でバンドやるのはカッコイイけれど。ところが次の数ページ、アヤコがカッコイイと見つめるシンくんがとっても素敵に見える。見る人によっては変わるんですよねえ（笑）　

この頃の１０年といえば４８歳の私にとっての３０年くらいにも値するかも。とにかく毎日が長くて、しかも色んな事が待ち受けてる年代ですよね。

私はといえば、１５歳からの１０年間で、高校や大学行って色んな人に会って社会に出て結婚までしちゃいました。

１０年ですっかり心も変わる。でも直前の二ヶ月前までアヤコのほうはシンくん一筋だった！夢に挫折したシンくんもシンくんなりにちゃんと約束の日に焦りだして色々やってるところが好感持てました。　

１０年後の当日のシーン。もう本人じゃないのにドキドキしちゃいましたよ！！詳しくは読んでのお楽しみに…。　

アヤコが思ってた事が心にしみます。現実の恋が始まっても、ときめいていた初恋は、ずっと未来を見つめていたシンくんの後ろ姿は、ちゃんとそのままの形で心にあって、それを現実の恋が包んでる…みたいなこと。煌く初恋はいつまでも大事に抱えていてもいいんだよね。

★★★★☆

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