それでも被害者側の損害はあまりに大きい 東野圭吾「手紙」
| 手紙 | |
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*内容*武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。 *★*――――――――――*★**★*――――――――――*★*
久々に目頭が熱くなりました。
強盗犯の兄をもつ直貴が、大学をあきらめて社会の底のほうで働いてやっと生きてる状態から、地道に這い上がってゆく。
諦めてしまえば、ずっと底のほうでもがいて生きていかなければならないんだなあと思うと凄く怖かった。
高校出たての彼が自分で稼ぎ自分で通信大学へ通い、就職先を探す。それでも兄の存在があちこちで露見して、音楽の夢や恋人や仕事先を失ってゆく。自分のことを思う一心で犯罪に走ってしまった兄を憎むに憎めず葛藤する。
兄から毎月送られてくるのんきな手紙に、私も直貴といっしょに自分の困難な状況も知らずいい気なもんだ…と思ってました。
けれど弟の苦境を知らされ、それに思い当たらなかった自分を激しく責める兄に全ての棘が溶けてゆく想いでした。最後の2ページは涙なしでは読めません…。
この話は犯罪者側からを中心に描かれているけれど、主人公の直貴の娘がいざ被害者になって…という展開を入れ、被害者側の想いに気がつくところがよかったです。犯罪者やその家族を絶対に許せないという、やりきれない被害者の家族の気持ち。どちらも大変な損害を被るけれど、被害者側の損害はあまりに大きいです。
周りで差別してしまう大人たち。それがどうしても仕方のない事だということを直貴に気づかせてくれる社長の存在が大きかったです。そして最後まで直貴を気にかけてくれる音楽を目指していた友人の存在も。いろいろ考えさせられましたが、読んでよかったです。
★★★☆☆

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